2025年度に開設された林ゼミは、
学外での学びも導入しています。
ゼミでは、教育と遊びとの
境界について自由な議論を展開。
学外では、現役教師の実践や悩みに
直接触れながら学びを深めています。
ゼミ長の村瀬さんが外の世界と
ゼミとの橋渡し役を担っています。
村瀬 結南 さん
林 一真 専任講師
外の世界で学ぶことの価値
村瀬さん 林先生には、現場の先生方が集まる研修会に何度も連れていっていただいています。初めて参加したのは、2年次の秋にゼミへの所属が決まり、その後に開かれた静岡県浜松市での研修会でした。大学の外で学ぶことの面白さを、ここで初めて実感しました。
林 専任講師 村瀬さんの代は、私が本学に来て初めて受けもったゼミ生です。面談を通して、教師をめざす強い思いとバイタリティを感じたため、研修会に声をかけました。「行ってみたい」と即答が返ってきたことが印象に残っています。
村瀬さん 3年生になってゼミが始まってからも、各地の研修会に参加する機会をいただきました。それまで外に出ることに積極的ではなかった私にとって、活動範囲が県内から一気に広がりました。研修会では、現役で働くさまざまな年代の先生方と出会い、教室で試した指導法や子どもたちの反応、現場で直面している課題について、直接お話を聞くことができました。そうした出会いや対話を通して、自分の中の学びの世界が大きく広がったように感じています。
林 専任講師 こちらの想像以上に多くのことを吸収していますね(笑)
村瀬さん 実は、研修会では現場の先生方だけではなく、教育委員会の方や「ロイロノート・スクール」をはじめとした教育関連企業の方とも出会い、教育に関わる仕事の幅広さを知ることができました。会場では、一対一で話をしたり、周囲の人も交えながら納得がいくまで意見を交わしたりする中で、学外で学ぶことの面白さに強く惹かれました。
教師になってからも
発揮できる「強み」
林 専任講師 学外での学びを楽しんでいることは、これまでの様子から伝わってきました。それでも教育実習の期間と重なった研修会に参加したことには、正直驚かされました。教育実習中ではありましたが声をかけてみると、「実習の中で生まれた疑問を、専門の先生に聞いて解決したい」と話してくれました。実際に会場では、研修後の時間を使って、該当の先生に質問を投げ掛けている姿が印象的でした。すでに別の研修会で面識ができていたとはいえ、学びを自分ごととして捉え、行動につなげていくその姿勢に頼もしさを感じました。
村瀬さん 中学校で4週間ある教育実習のうち、第3週を終えた土・日に研修会がありました。最終週の授業を何とか改善したい思いから、作成した指導案を持って参加しました。当日は、教育委員会の先生から「遠慮はいらないよ」と声をかけていただいたので、その言葉にすっかり甘えて(笑)、納得がいくまで次々と質問を重ねました。その結果、授業づくりについて具体的な助言をいただくことができました。
林 専任講師 研修会には、自身の授業実践を発表し、意見交換を通して次の実践につなげようとする先生方が集まります。立場はさまざまですが、共通しているのは、児童・生徒のために教育をより良くしたいという強い思いです。そうした場で多様な意見に触れ、いろいろな立場や考え方があることを知る経験は、学外での学びにとどまらず、大学内での議論や授業への向き合い方も自然と変わってくることでしょう。自分の課題に向き合い、解決に向けて主体的に動く姿勢や、立場を問わず誰とでも対話できる力は、教師になってからもきっと活きてくる、村瀬さんの確かな「強み」ですね。
教員採用試験の合格を
ゴールにしない
村瀬さん 林ゼミへの参加を希望した当初の理由は、林先生が教育のICT化を専門に研究をされていたからでした。高校時代、授業でタブレット端末をうまく使いこなせなかった経験があり、ICT化は本当に必要なのだろうか、という疑問をもっていたからです。しかし、ゼミでの学びや外部研修を通して、現役の先生方によるICT活用による議論や実践例に触れる中で、考え方が大きく変わりました。今は、ICTが必要かどうかではなく、子どもたちの学びを深めるために、どのように活用すればよいかを考えるようになっています。
林 専任講師 私の思いとして、学生たちには、教員採用試験の合格をゴールにしてほしくないと思っています。教職に就いた後も、生き生きと子どもとともに成長していける教師になってほしいからです。そのためにも、教師という仕事に誇りと責任をもち、学び続け、考え続けながら輝いている現役の先生方と出会い、その生き生きとした姿を見てほしいと思っています。私自身も、楽しく仕事をする姿を、学生たちに見せていかないといけませんね(笑)。そもそも、このゼミは「指導教員と学生」という関係ではなく、共同研究者になってくれそうな学生と一緒に開きたいと思って始めました。学生の探究心に乗っかり、新しい視点や気づきをもらいながら、一緒に研究を深めたいと考えていました。
実際、先日新聞に掲載された私の研究発表には、村瀬さんをはじめとするゼミ生の視点や考え方が反映されています。
村瀬さん 以前は推し活に使っていたお金を、研修会に参加するための交通費に使うようになり、「経験に投資する」という感覚が芽生えました。それに伴って、時間やお金の使い方だけでなく、自分の人生の向き合い方も大きく変わったと感じています。自分から外の世界に出て挑戦することで、新しい学びに出会えるようになりました。ゼミや学外の研修会で、先生が楽しそうに学び続けている姿を見て、私も学び続ける人でありたいと思っています。
林 専任講師 村瀬さんは、ゼミでの議論や学内での学びを出発点に、一歩外の世界へと学びを広げ、そこで得た気づきを再びゼミに持ち帰ってくれる存在です。林ゼミでは、学内で考え、学外で確かめ、その経験をまた学内の議論へとつなぐ往復を大切にしています。そうした積み重ねが、教職に就いてからも学び続け、成長し続ける力の土台になっていくのではないでしょうか。